この店に出会ったのは一昔前のこと。当時よく通っていた神田須田町の老舗のソバ屋「まつや」でカレー丼を食べて表に出たとき、隣接する店の「カレーライス」のノボリが目に飛び込んできたのだった。
「この店、いつできたのかな?」
カレーライスの激戦区、神田界隈においてカレーで商売するのは至難の業。その意気込みを確かめるべく、満腹にも関わらず「トプカ」の暖簾をくぐったのだ。
メニューの筆頭を飾る「ムルギカリー」(インド風鶏肉カレー)は、ラグビーボール状に盛られたライスの横に、サラサラなカレーソース、大きな鶏肉や野菜がゴロンと転がった代物だった。一口頬張れば、スープ状のソースながら深い旨味とコク、複雑なスパイスの香り、
「うっ、旨い!」
と思わず唸ってしまったほど。それから「トプカ」に病みつきにさせられてしまい、今に至っている。
最近のお気に入りは「キマカリー」、これがメチャクチャ旨い。ご飯の上にはまろやかなダルカレー(豆)、その上に数十種類のパウダースパイスと、コリアンダー、カルダモンのホールスパイスで香りづけされた牛、鶏肉の合挽きのウェットタイプの辛口ドライカレー。スパイスの鋭利な芳香に鼻腔がくすぐられ、力強さと優しさが同居した、そのコンビネーションの味わいの虜にさせられるだろう。
また夜は串焼きや焼き鳥、刺身などを揃えた居酒屋に姿を変え、愛嬌バツグンの主人の娘さんが喜色満面で出迎えてくれることもある。![]() |
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「キマカリー」(¥850)はリピーターも多い人気メニュー。ほかにもスパイスが香る「印度カリー」5種類、マイルドな「欧風カリー」9種類が楽しめる。 | 各テーブルには自家製の「福神漬け」と「らっきょう」が備わっている。丁寧に作られた確かな仕事。市販品とは異なる、深い味わいを堪能できる。 |
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店主の関根氏とは飲み仲間でもある。酒の席でも話題になるのは、やはりカレー。その真摯な姿勢によって「トプカ」の味は誕生したのだ。 | 昼はサラリーマン、夜は女性客が多く来店するという店内。酒の〆にカレーというのもオツなものである。 |
JR神田駅より徒歩8分
東京メトロ丸の内線淡路町駅・都営新宿線小川町駅より徒歩3分
17:30〜22:30
土・日・祝 11:30〜18:00
★シチュエーションPOINT
「だらけた気分はカレーでリセット」