風変わりな野菜カレーが楽しめる
東南アジアを中心に長い放浪生活を送ってきた主人。口髭を蓄え、長髪を後ろに結んだ風貌は、ボヘミアンだった頃の面影を漂わせている。
この店に出会ったのは一昔前。僕の師匠である御徒町にあったインド料理の名店「モーティマハール」の主人に紹介されたのがきっかけだった。「葡萄舎」は当時、ランチはやっておらず、酒の肴のメニューとしてカレーがあり、その美味しさには定評があった。
客層は近隣のサラリーマン、OLはもちろんのこと、主人と同じ匂いを共有する自由人がそのカリスマ性に惹かれて訪れ、連夜賑わっている。
主人は南インドを放浪中、マラリアで体調を崩し、そのとき彼を救ったのがミールス料理(主にベジタリアンのカレー料理)のサンバル(汁カレー)だったとか。それ以来、ベジタブルカレーにこだわりを持つようになったそうなのだ。
動物性のカレーももちろん提供するが、巷のインド料理屋でもお目にかかれない、風変わりな野菜カレーが楽しめる店なのだ。メニューにある「ダブルカリー」は、好みのカレーを2品チョイスできるもので、チキンとキャベツカレーだったりするが、日によってカレーが様変わりするので、その日のお勧めのメニューを聞いたほうがいいだろう。常時おいてあるチキンカレーの味わいは、日本のインド料理屋で目にするムガール料理の濃厚なものとは異なり、インドの庶民が口にする、サッパリとした風味である。
様々な国を、目を舌と胃袋で体験してきた主人の生き様が奏でる味わいとでも言おうか、とにかくどのメニューも、胃袋が癒されるカレーなのだ。![]() |
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数種類あるカレーの中から、好きな組み合わせ2種類を選ぶ「ダブルカリー」(¥700)。写真は小海老とチキン。「チキンカリーセット」(¥800)はチキンカレーのほかに、好きなカレーを2種類を選ぶ。 | 3種類の味が楽しめる「ベジタブルカリーセット」(¥800)。写真は左から「豆カリー」「カリフラワーのココナツ炒めカリー」「ナストマトカリー」。どれも手間暇をかけ、丁寧に作られている。 |
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自然農法で作られタンザニア産の「アフリカフェコーヒー」はすっきりとした味わいが特徴。クローブなど数種類のスパイスが溶け込んだ「チャイ」はやさしく舌を包んでくれる。どちらも100円だが、驚くほどに旨い。 | パワー溢れる店主、池田賢一氏。味はもちろんのこと、その人柄に魅了されてこの店に通う客は多い。 |
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木目を基調とした店内には、壁一面の大きな窓からやわらかい光が射しこみ、東京の喧騒を忘れてしまうような、ゆったりとした空間が広がっている。 | |
JR神田駅南口より徒歩2分
(ライス終わり次第終了:月〜金)
17:00〜23:00 (月〜土)
★シチュエーションPOINT
「身体も心も疲れていると感じたら」