
「ここのサーディンのトーストと、タラコのコッドローがたまんなくいいんだよ」
とサラリーマン時代、全共闘世代の先輩に連れられて初めて「トップ」を訪れた。
「これこれ、食べてみな」
やや厚切りで小ぶりなトーストの上にオイルサーディン、トーストのサクっとした歯ざわり、しっとりとした旨味のあるイワシとの相性がいい。ちょいとレモンを振りかけて、いただけばまた旨い。合間にピクルスをつまんでまたパクリ、
「これいいわ」
「だろう、なかなか乙だろう」
と次にコッドローはトーストのサクっとした歯ざわりの中に、フワっとした蒸しタラコマヨネーズの食感、これもしっくりきた。
「特別なものを組み合わせているわけじゃないけど、これってアイデアですね」
「そうそう、なんてことはないんだけど、よく考えたよな」
小腹が空いた営業途中のサラリーマンには丁度いいボリュームで、仲間たちでよく「トップ」を利用し、トースト類をつまんでは疲れた体を癒していた。
いまでこそカフェスタイルの喫茶店でも、ちょいと変わった軽食メニューを数多く揃えるようになったけど、どうもしっくりこない。サンドウィッチや菓子パンなど、たぶん、すべて出来合いのものばかりだからだ。
「サーディントーストは昔からのお客様がよく注文されるんですよ」
と店長。うーん、僕は昔の人になってしまったようだ。この新宿店は 1968年オープンで、すでに40年近くの歴史がある。カフェスタイルの喫茶店が増える中、純粋な喫茶店は、最近見かけなくなってきた、大事にしたい。また、 マイノリティーにされてしまった喫煙者も、ここでは堂々とタバコが吸えるので、安心して利用してもらいたい。
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「コッドロートースト」(¥ 350 )の上品で優しい味わいが疲れた身体を癒してくれる。 | 「サーディントースト」(¥ 500)のレシピは創業当時のまま。その変わらぬ味で、オールドファンの心を掴んでいる。 |
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落ち着いた雰囲気の店内。仕事の合間に訪れるにはうってつけの立地も魅力だ。店頭にはコーヒー豆の販売スペースも。 |
JR新宿駅西口より徒歩3分
★シチュエーションPOINT
「たまにはちょこっと息抜きを」