350グラムのボリュームも
スープの旨さでぺロリと完食
この店に出会ったのは一昔前のこと。出来立てホヤホヤの「べんてん」は、今のように行列はなく、閑散としていた。
初めて訪れた日は、つけめん。2回目にラーメンを食べ、その美味しさに驚かされた。3度目に味噌ラーメンを注文し、そのドンブリのデコレーションを目の当りにしたとき「このラーメンの形状はどこかの店で出合ったな……」と、にわかに記憶が蘇った。
「ご主人、赤羽の『A飯店』って知ってますか?」
主人の田中さんは驚いたように、
「お客さん、なんでその店知ってるの?」
「僕、あそこの味噌ラーメンの大ファンで、これ見たとき、思い出したんですよ」
「そうなんだ! 俺もあそこの味噌ラーメン大好きでさ、これ『A飯店』を手本にしたんだよね」
その「A飯店」の味噌ラーメンは、味のないスープに麺を沈め、その上に載せた野菜、挽肉などが練りこまれた味噌玉を、徐々にほぐしながらいただく独特なスタイル。しかし、独自にカスタムされた「べんてん」の、プロトタイプから一線を画する進化した味わいに、感心させられたものだった。
あれから3年、都内屈指の行列店に変貌した「べんてん」。あの味噌ラーメンは、主人の気が向いたときにしかメニューに加わることはない、それは大人数分の仕込みに毎日追われているからだ。
同業他店も参考に訪れるほどの人気を博している一押しのつけ麺は、とことん旨い。自家製されたツルツルシコシコの麺は、通常で 350 グラムものボリュームだが、スープの奥行きと力強さによって、すんなりと胃袋に収まってしまうのだ。
現在、塩ラーメンもメニューに加わり、これも格別に旨い。開店から僅か2時間弱で売り切れてしまうけど、力強いスープに裏打ちされた独特な味わいの塩ラーメンも、ぜひ楽しんでもらいたい。
ボリューム満点の「つけ麺」(¥750)は、女性でもペロリとたいらげてしまう旨さ。 | 人気メニュー「塩らーめん」(¥800)は13:00頃には売り切れてしまう。早めの来店をおすすめする。 |
人気店ゆえにいつも店内は満席。学生、サラリーマン、お年寄りと様々な客が訪れる。 | 食感がたまらない自家製麺は、店内奥で仕込まれている。 |